第125回日本小児精神神経学会[The 125th Meeting of Japanese Society of Pediatric Psychiatry and Neurology]

大会長挨拶

テーマ:発達障害の二次的・三次的障害を防ぐために
~トラウマとの関係を見つめなおす~

今年度、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当学会は第123回春大会・第124回秋大会の双方とも中止を余儀なくされました。来年度(2021年度)についても現時点では新型コロナウイルス感染症の影響がどこまで残っているのか予測できない状況です。この状況下で第123回大会をスライドさせていただく形で第125回の大会長を仰せつかりました。開催形式について、可能であれば会員の皆様と直接に発表や議論をしたく考えておりますが、予断を許さない状況ですので、WEB配信のみでのオンライン開催と決定いたしました。開催形式等、詳細につきましては決まり次第、学会HPおよび大会HP(https://jsppn123.jp/)にて発表をいたします。WEB配信でも、各種単位は取得できるように準備・調整中です。

大会テーマにつきましては中止となった第123回大会のテーマを引き継がさせていただきたく思います。開催された直近3回の大会テーマを振り返ってみますと第120回(宮本 信也 会長)「子どものトラウマ~再認識されるべき心の問題~」、第121回(小林 潤一郎 会長)「子どもの学校生活にどうかかわるか?~発達障害医療が超える壁~」、そして第122回(友田 明美 会長)「マルトリートメント・神経発達症と子育て支援~臨床と研究のかけはし~」となり、これらは近年の「子どものこころ」を巡る大きな流れに沿ったものと感じます。

発達障害を抱える子どもたちが増える中、いじめや虐待、不登校やこどもの自殺、キレやすい人々の増加、大きな災害、等々の問題が重なり、状況はますます複雑化しています。そのような中で発達障害を抱える子どもたちが周囲の不適切対応の結果、二次障害を呈することも珍しくありません。二次障害を起こさない支援や関わりが最重要なのは言うまでもありませんが、生じてくる二次障害に対して我々は適切に対応できているでしょうか?適切な対応がとれず、二次障害をより重症化させ三次的障害が生じていないでしょうか?社会的ひきこもりの長期化や自傷他害の深刻化、自殺、非行や犯罪などの問題です。これらの二次的・三次的障害の進展を防ぐためには、発達特性だけでなく、トラウマティックな側面も含めた様々な要素を正しくアセスメントしてニーズを捉え、必要な多職種支援体制を構築する必要があります。「令和」という新時代を迎え、オリンピック開催直前の活力あふれる東京で開催されます本大会では、トラウマを含めた視点から発達障害を抱える子どもたちが健やかに成長できるセーフティネット構築のために必要な議論を進めてまいりたく思います。少しでも多くの皆様に御参加いただき、活発に御議論いただくことで本大会が皆様に有益な大会になりますことを祈念しております。

第125回日本小児精神神経学会

大会長 桝屋 二郎

(東京医科大学精神医学分野・こどものこころ診療部門)